特集 倫理的問題への対応を個人の悩みとしないために
倫理的問題の認識を共有してケアに臨む―Jonsenらの臨床倫理の4分割表を用いたチームカンファレンスの現状と課題
中城 由紀
1
,
神崎 美保子
1
,
鳥越 るみ子
1
,
石坂 育子
1
,
松崎 勉
2
1国立病院九州循環器病センター4階病棟
2国立病院九州循環器病センター耳鼻咽喉科
pp.256-262
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100808
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
当病棟は,耳鼻咽喉科・消化器内科・血液内科・小児科を主診療科とする混合病棟で,入退院が多い一般病棟である。患者の年代,疾患,病状も急性期からターミナルまでとさまざまであり,私たちスタッフには,患者の状態を短時間で適切に把握し,必要なケアを判断する能力が要求される。
当病棟では,数年前から,耳鼻咽喉科・消化器内科・血液内科について,それぞれ週に1回ずつ,医師と看護師との合同カンファレンスを行なってきた。医師は患者の病状・治療方針について,看護師は患者の精神面(特に入院中の表情や言葉など)について,互いに情報交換を行なう。しかし,せっかくの情報交換の場であるにもかかわらず,看護師からの意見はなかなか出なかった。
そのような状況をなんとかしたいと思う中で出会ったのが,Jonsenらの「臨床倫理の4分割表(以下,4分割表)」である。私たちはこの4分割表を,患者についての情報収集をスムーズにし,問題をより的確に把握するためのツールとして認識した。これがあれば,カンファレンスの情報交換の場で,看護師が患者の思いの代弁者として意見を出しやすくなり,具体的ケアの立案につながるのではないかと考え,さっそく用いることにした。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.