連載 しなやかに家族を看護するスタッフに育てよう・6
ケーススタディ②―今後出会う家族に役立てるようにまとめる
山崎 あけみ
1
,
倉富 明美
2
1上智大学総合人間科学部看護学科基礎看護学
2九州医療センター
pp.1170-1173
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102649
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臨床場面
Aさんは19歳。妊娠後,未受診のまま過ごすも,パートナーと婚姻し妊婦健診を受けようとした矢先に,破水により当院受診。32週で分娩に至った。児は問題なく,1週間でNICUからGCUに転床した。母乳分泌は順調なものの,子どもの扱いに気分のむらのあることが助産師N子には気がかりだった。夫も同年齢,たまに面会に来ても夜の仕事のため昼夜逆転し,子どもに近づこうという意欲がなかった。両親はAさんが子どものころに離婚し,支援できる人がみえてこない。育児技術はもちろん,子ども中心の生活習慣の獲得が課題と考え,GCU転床時に了解を得て,保健センターに連絡し連携を始めた。
Aさんは先に退院し夫と同居を始め,GCUに通いつつ育児用品の準備から始めた。生後4週,子どもも退院,保健センターから適宜家庭訪問をし,乳房外来で週1回,N子がフォローした。2か月健診を過ぎたころ,「子どもへの安定した対応には課題があるものの,生活リズムはそれなりにできてきた。今後は保育園の活用も視野に入れる」とセンターから報告があり,Aさんは乳房外来にも訪れなくなった。
NICU/GCUでの家族への関わりは,最後まで見届けることができない。しかし,Aさんと初めて会ったときのことを考えると,少しは役に立ったのではないかと感じた。
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