連載 しなやかに家族を看護するスタッフに育てよう・5
ケーススタディ①―家族の立場になって,実践を振り返る
山崎 あけみ
1
,
竹田 聖子
2
1上智大学総合人間科学部看護学科基礎看護学
2TMG本部特別養護老人ホームとだ優和の杜開設準備室
pp.1086-1089
発行日 2012年11月10日
Published Date 2012/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102623
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臨床場面
Aさんは60歳独居女性,脳梗塞のため近所の人が救急車を呼び入院した,妻と10代の息子がいる一人息子が遠方におり,急性期病院を退院時に同居を申し出たため,息子宅近くの当院(回復期リハビリテーション病院)に転院した。Aさんは,元気だったこれまでも頻繁に息子宅に滞在し,ゆくゆくは同居も考えていた。
息子夫妻は,リハビリテーションに参加するAさんの姿に,「これまで入院していた病院とは違う,専門病院を探してここにきてよかった」と言った。それを聞いてN子は,安心できる家族だと思った。入院7週目,食事は粗刻みスプーン使用で問題ないが,車いすからトイレに移るときに1人では不安定なこと,入浴などに介護保険のサービスを提案されたころから,息子と連絡がつきにくくなった。
退院期日が迫ってきたころ,息子が「本人には,今は施設に,もっと回復してから在宅へと話してほしい。でも,正直これからどうなるか不安だ」と訴えた。N子は,初期の家族アセスメントに誤りがあったのか,もっと早期にこの患者・家族にできることはなかったのか,悔やまれるうちにAさんは転院した。
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