連載 つらつらNPノート・18【最終回】
看護の定義
鈴木 美穂
pp.875
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102561
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先日,ニューヨークで開催されたMASCC/ISOO(Multinational Association of Supportive Care in Cancer/International Society of Oral Oncology:国際がんサポーティブケア学会/国際口腔腫瘍学会)のシンポジウムに参加した。「がん看護におけるAdvanced Practice Nurses(APN)の役割と専門性の発展」というセッションがあったのだが,内容はがん看護に限ったものではなく,各地域(アメリカ,ヨーロッパ,アジア)におけるAPNの法的規制や現状報告といった総体的なものが中心だった。とどのつまり,どの地域でもAPNとは何なのか定義が確立していないということだ。
驚いたことに,マンチェスター大学のモラシオティス教授によると,イギリスではAPNのきちんとした免許・認定制度はないらしい。スタッフ・ナースなど一般のナースに対して,クリニカル・ナース・スペシャリスト,ナース・コンサルタント,ナース・リーダーなどがAPNと考えられているが,教育背景もさまざまで,基本的にすべて“自称”APNということだった。そしてヨーロッパ全体の傾向としてはAPNに対して医学界からの非常に強い反発があるとのことで,日本と同じ現象が起こっていることがうかがえた。モラシオティス教授のプレゼンテーションの結論は「看護とは何か? それをはっきりしないかぎり,APNの議論は先へ進めないのではないか」ということだった。
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