特集 Sepsis
1.sepsisの定義―定義の変遷の再確認と早期診断の可能性について
森澤 健一郎
1
,
藤谷 茂樹
1
Kenichiro MORISAWA
1
,
Shigeki FUJITANI
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.181-189
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100184
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■治療の発展に比べて早期診断法の進歩は頭打ち
sepsisの語源はギリシャ語のseptikosであり,「崩壊」「腐敗」といった意味である。紀元前8世紀頃には使用されており,1914年にSchottmüllerらが新たな概念を導入するまで使われてきた。Schottmüllerらは“septicemia is a state of microbial invasion from a portal of entry into the blood stream which causes signs of illness”1)と定義し,その後,最近になるまで,sepsis,septicemia,toxemia, bacteremiaという単語は混同して使用されてきた。
sepsisは,感染症による全身の炎症反応によって生じる一連の症候群であり,集中治療領域の中心的話題となって久しい。これは,医学の発展が著しく,EBM(evidence based medicine)の浸透とともに,多くの病態生理が紐解かれ始めているにもかかわらず,sepsisの病態には未知の領域が多く,決定的な新治療が待たれる現状のためである。実際にICUへの入院患者では,感染症のない場合の12.1%に比べ,感染症を有する場合の死亡率は43.9%と高率である2)。しかし,ICU入院患者の20~30%がICU入院中に何らかの感染症にかかっているのが現状で3),米国では年間に約75万例のsepsisが報告されている。
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