書評
その先の看護を変える気づき―学びつづけるナースたち
橋野 恭子
1
1船橋市立医療センター看護部
pp.1210
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102300
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自己を知り,自身の新たな看護を展開していくために
自身の経験からの気づきを促す
看護職のキャリアアップを支援する者として,急性期の高度医療を提供する臨床において,専門的知識・技術を駆使するのはもちろん,心の調和する看護を提供できる人材の育成につなげたい。看護専門職者として就業し基礎研修を終え一人前として歩みだすときや,実践家として組織の中心で活動していくとき,看護管理者として役割を果たすなど人間的成長や役割拡大が期待されるとき,逆に迷ったり行き詰まったりしているとき,一人ひとりの看護師・助産師がそれまでの看護実践を振り返り,自己を知り,次の段階に進めるためにはどうしたらよいか。編著者の一人である佐藤紀子氏からこの本をいただいたのは,そんな模索していたときであった。
本書は序章で「書くことと内面の成長」について述べており,本書の意義・意味づけを説いている。本編に記録されている看護師の記憶に残る物語を読んでいると,自分の学生時代や新人,中堅・看護師長時代のどの時代にも,その状況に類似した私自身の記憶が鮮明に呼び起され,その時の状況が重なり,胸にこみ上げるものがあった。それと同時に,自分自身の看護の在り方や他者への関わりが頭の中を巡った。このように考え実践していたのか,こんな看護の意味づけがあったのかと共感し,あらためて気づかされることばかりであった。また描写された人の生き様やそのときの状況から,その人となりをみる自分自身の眼やとらえ方を再認識させられた。まさに自分の気づきを促してくれる一冊である。
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