続MSWの目
きかない薬を飲まされつづけて
中島 さつき
pp.64
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917698
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ある日総合病院のMSWの部屋を訪れたU子さんは,眼科に1年通いつづけた患者である。「先日来一度相談に行きたいと思いながらも,なかなかその気になれなかったが,今日は思いきってまいりました」と話した。
この美しい27歳の女性は,ある大会社の庶務課で小まめによく働き,同じ会社の人と結婚してもう2年になる。彼女は弱視なので,細かい事務の仕事は不向きであった。あるとき○○新聞で「手術をすれば視力をますことができる」という記事を読んで,夫と相談してこの病院の診察を受けた。まもなく入院して手術も無事にすんで退院した。家事をしているとき,突然目の前が真暗になってしまった。実は網膜剥離をおこしたのである。再び入院し手術を受け,今度は無事に過ぎた。担当の医師は,「また剥離をおこすといけないから,半年間はなるべく下をむかないようにしてほしい」といい,そのためにもずっと服薬をつづけ,外来の診療を受けていた。
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