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在米の私に,日本で専門看護師とも認定看護師とも違う,別の新しい看護師資格に関するアイデアが浮上していることが伝わってきたのは数年前だ。当時,NP学生だった私は米国NPの視察の問い合わせを受けるようになったので,その新たな看護師資格は日本におけるNPをめざしたものなのだろうと想像していた。しかし,漏れ聞こえてくる話から,だんだんとNPとは異なることがわかってきた。
とにかく,その特定看護師(仮称)と称される新しい看護師資格についての議論は,行なってよい特定の「行為」「技術」に関することばかりで,その行為を実行するにあたって必要な知識と判断力についての話があまりないのである。私の受けたNP養成プログラムのなかでは技術をトレーニングする場は全くなかった。授業で学んだのは,患者の訴えやフィジカルアセスメントから得られた所見から鑑別診断を立てること,それらを除外していくために必要な検査と,診断を確定したあとに施すべき治療法である。米国では,厚生労働省『チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループの特定看護師(仮称)に関する資料』1)で特定看護師(仮称)によって実施されるべきとされているような「行為」は各現場でトレーニングされる。私の場合,この厚労省の資料に挙げられている「行為」のなかで,NPになって実施するようになったのは直接動脈穿刺と中心静脈カテーテルの抜去くらいなものであるが,ICUに勤務するNPはもちろん気管内挿管や抜管も行なう。これらは当然卒後現場トレーニングである。また,PICC(peripherally inserted central catheter)ラインの挿入はトレーニングを受けた看護師(RN)の業務であり,12誘導心電図や末梢血採血は看護補助者の業務である。
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