特別記事
「爪ケア裁判」を通して考えたこと
佐藤 紀子
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1東京女子医科大学看護学部看護学研究科(看護職生涯発達学)
pp.144-147
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101957
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私と「爪ケア裁判」の関わり
2010(平成22)年9月16日の朝9時,私は福岡高等裁判所の廊下で傍聴席の抽選のために並んでいた。私が上田さんの裁判に関与してから2年近い歳月が流れていた。しかし,上田里美さんにとっては,2007(平成19)年6月からのことであった。そしてこの日,福岡高等裁判所は,上田さんに対して「無罪」を伝え,判決文の中で看護師にとって今後大変重要な判例となる,「正当業務行為」についての見解を述べた。
この事件は当事者である上田さんにとって,大変不幸で不遇な出来事ではあったが,上田さんがこの裁判の中で体験し主張したことは,上田さん自身の正当性の主張にとどまらず,すべての看護職者に大きな影響を与え,今後の業務遂行上の指針を示したものとなった。
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