特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第1部 授業で医療倫理を学ぶ
模擬裁判を通して学生は何を学んだか
模擬裁判が問いかけるもの―傍聴して考えたこと
本間 なずな
1
1北里大学医学部
pp.903-905
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902383
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叔父の介護
「叔母ちゃんは叔父ちゃんのお世話で大変やろ」,法事の折,親戚の何人かが私の母の叔母に向かって言った.皆はその言葉をうなずきながら聞いていた.叔父と呼ばれているのは私の祖父の兄で80歳,叔母はその妻で76歳になる.
叔父は11年間,自宅で寝たきり状態で暮らしている.病名は「脳出血後遺症による全失語および左右上下肢・体幹麻痺」である.すなわち意思の疎通をまったく欠き,身動き1つできない状態で,食事は経管栄養に頼っている.したがって叔父は叔母がいなければ生存は不可能な最重度の要介護者であり,最近,介護保険で介護度5に認定された.
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