第16回日本病院学会特別号 特別講演の部
裁判のはなし
横田 喜三郎
1
1最高裁判所
pp.73-75
発行日 1966年10月20日
Published Date 1966/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202950
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院と裁判所とはあまり共通点もなさそうですので,病院学会で裁判の話をしても似合わないんじゃないかと思いましたが,高等学校時代からの友だちである美甘君から頼まれれば,断わるわけにはいきません。何か病院と裁判所と共通の点はないかと考えてみましたが,なかなか共通の点がない,そのうちに共通のところがあるように見つけたのであります。それはあまり人が行きたがらないところだということであります。楽しみに病院に来るという人はないと思いますが,裁判所のほうも裁判所へ行くのは非常に愉快だという人はあまりないようであります。証人として調べるのにも裁判所へ行くには不浄の門をくぐるような気がして,汚らわしいところだというような気持が,一部の人にあるようであります。
金沢での話で,裁判所の建物の前を小学校の先生が子供を連れて通りましたときに,「裁判所というところは,悪いことをした人を調べるところだのに,どうしてこんな立派な建物でしょうか」といって聞いたということです。裁判所というものに対する関心が,一部の人にはそういうふうに受け取られていたのであります。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.