連載 やじうま宮子の看護管理な日々・50
知らぬが仏,言わぬが花……という知恵
宮子 あずさ
1
1東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程
pp.440-441
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101746
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「息子の死に方は知りたくない!」と父は叫んだ
熱戦がくり広げられたバンクーバー五輪。ウィンタースポーツにあまり関心がない私も,ついついテレビに釘付けになりました。さまざまな場面が思い浮かぶ17日間。私の記憶に最も残ったのは,リュージュ男子1人乗りの公式練習でグルジアの男性選手が亡くなった開会前日の事故でした。
その死の報に接した父親は,テレビの取材に対して,大きな掌で顔を覆い,嘆き悲しみながら,こう言ったのです。「事故の場面など見たくない。息子の死に方なんて知りたくない。息子は死んだ。それだけで十分だ!」。彼は息子の死の瞬間を写した映像を決して見ることはない,とも断言しています。
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