連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・49
生きるのを支える心の埋もれ火―『あの路』『おくりもの』
柳田 邦男
pp.1090-1091
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101626
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はじめに詩があった。三本足の黒い犬と少年の物語の詩だった。
あまりにも悲しく,あまりにも美しい詩に寄り添って,画家は絵を描いた。はじめはいくつかの場面の絵,数点だった。詩画集のようだった。
詩人は,涙を流した。自分の魂が描かれていたからだ。詩人は詩を推敲した。言葉がいちだんと澄み渡った。
画家は,まるで向こう側の世界に行ってしまったように,一枚,また一枚と,絵を描き加えていった。
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