連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・19
内耳―骨に埋もれたカタツムリ
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京造形大学彫刻専攻領域
pp.505
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201269
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耳は頭の横に出ている部分だけではなく、頭の骨の中にまで長く続いており、解剖学ではこれを「外・中・内」の3部に分けています。外から鼓膜までが外耳、鼓膜の内側で耳小骨がある鼓室が中耳、その奥で頭の骨に埋もれている部分が内耳です。内耳はカタツムリの殻のような特徴的な形でよく知られています。しかし、この渦巻き形の器官は骨に埋もれていて取り出せません。その内部は空洞で、ほぼ同じ形の袋が収まっています。
内耳は次の3つの部位に分けられます。渦を巻いた「蝸牛」、直交する3つの輪の「半規管」、そして両者の間でふくらんだ「前庭」です。これらはそれぞれ働きも異なり、蝸牛が音をとらえ、半規管は頭部の回転をとらえ、前庭は頭部の傾きをとらえます。この3つの部位を意識しながら右側の内耳を造形します。
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