発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909579
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ついこのあいだのことです。私は,あまりこんでもいない電車のドアのところに立つて,外をながめていました。電車がN驛に着いて,ドアがあきましたが,だれもおりるけはいがないので,私はそのまゝ戸口にたつていました。すると,ふいに耳もとで,
「ごめんあそばせ。」という声がしたと思うと,私はいきなりグンと肩のあたりをつきとばされました。と同時に,四十前後の洋装の婦人が,押しのけるように勢いよくホームに飛びおりてゆきました。
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