特集 パワーを掌り,組織で活躍する 影響力を発揮し続けるために
実践コラム 『パワーを掌る』私の活用方法
信頼関係を築き,未来へつなげるコンフリクト・マネジメント
川﨑 つま子
1
1大坪会グループ 看護局
pp.41-42
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350010041
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私はこれまで,看護師と医師,患者と医師,看護師同士の間で発生するコンフリクトの仲裁に入ることが多くありました。今でも時々思い出すコンフリクトの体験は,患者と医師の間で発生したものです。始めは静かに話し合っていたのですが,両者の言い分は平行線で問題解決には至らず,興奮した患者の声が外来に響き渡っていました。誰かが間に入らないと一向に収まる気配もないと判断した外来看護師から連絡をもらい,私が介入することになりました。
まずは,両者の言い分をしっかり聞くことから始めようと考えて,患者を相談室に誘導しました。しかし,患者の怒りはピークに達しており,立ったままで「おまえは誰だ,看護師なんかに話しても仕方がない。病院長を出せ」「どうせこの病院は,おれの話も聞かず,医者をかばって医者のミスを認めない」と大声で訴えました。興奮が続いている間は,何を言っても届かないと考え,患者の腕に軽く触れながら,落ち着いた静かな声で,「私は○○さんのお話をしっかりお聞きするためにここに来ました。興奮を静めてください。そして,私に今のお気持ちを話してください」と伝えると,患者は静かに椅子に腰掛け,これまでのことを話し始めました。
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