特集 リソースナースの活用
専門領域をもつ看護師の活用から役割発展へ向けて―外来での業務分担と役割拡大を中心に
木村 チヅ子
1
1慶應義塾大学病院看護部
pp.230-236
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101437
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はじめに
専門看護師や認定看護師の活用については,専門看護師・認定看護師を「専任化できるかどうか」あるいは「手当てをつけるかどうか」が議論の中心の時期があった。活用を考える基本としては,「専門看護師・認定看護師は更新制であり,更新するには活動を確実に行ない,活動を通して知識・技術を常に評価し高めていく必要がある」ことこそが肝心な点である。活用の目的は,看護実践にとどまらず相談・指導を通じて組織として質の高い看護を実践することである。看護管理者には看護師の人材活用の一環としてその活動を保障する支援が求められ,かつ専門看護師・認定看護師自らも自律的に活動の仕組みを創造・実践することが必要である。
慶應義塾大学病院(以下,当院)は,患者のQOLを高め質の高い看護を効率的に提供することを目的に,また看護チームの強化と多様な患者ニーズに限られた時間で対応するための看護資源(リソース)の活用を目標に,看護提供の仕組みを「包括的看護」の概念図として示し,2001(平成13)年からそれに沿ったシステムを構築している。
この新たな看護提供システムでは,「療養支援室」を設立し,認定看護師および院内認定のエキスパート看護師を「専門領域看護師」として配置した。療養支援室の看護師は,患者・家族の医療ニーズに応え,また医療者のリソースとして機能し,外来看護提供の仕組みにも大きく影響を与えている。看護提供の仕組みづくりの過程では,診療クラークとの業務分担作業を行ない,結果的に看護師の業務拡大への足がかりとなる取り組みを行なっている。いささか古い話の部分もあるが,これらの経緯や活動状況について述べる。
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