連載 仕事に燃える現場づくりのヒント・9
“二律背反”を解決する
松村 啓史
1
,
青木 菜穂子
2
1テルモ株式会社 経営企画室
2トータル ライフケア プロモーション
pp.1128-1131
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101382
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二律背反って何?
「二律背反」という哲学用語があります。これは,一般的には矛盾のことで,見かけ上,または実質的にも2つの命題が互いに成立しないということを意味します。つまり,この二律背反を放置していても何も生まれません。実際に,解決すること自体無理だと決めつけ,議論さえされないことが多いのです。ドイツの哲学者カントは,「理性だけで世界の根本課題を解決しようとすると大きな矛盾に陥る」と言っています。これはどういうことでしょうか。
例えば,「効率化」と「質の向上」は,理論上は対立概念で,矛盾することです。つまり,「効率化」には費用の圧縮が必要ですし,「質の向上」には投資が必要です。このように対立する概念を理論だけで討議すると,「どっちをとるのか」,あるいは「今はどちらかを犠牲にして,1つを目指す」というようなことになってしまいます。
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