特集 緩和ケアに求められる役割と質保証
がん診療連携拠点病院の緩和ケアにおける役割と課題―緩和ケアの提供体制に関する全国調査から
宮下 光令
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1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻緩和ケア看護学分野
pp.553-559
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101240
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はじめに
現在,がん対策基本法およびがん対策推進基本計画の施行に伴い,わが国のがん医療の全国的な均てん化が求められている。特に緩和ケアに関しては,がん対策基本法でもその充実の必要性が指摘され,がん診療連携拠点病院の指定要件の1つとして重要な役割を有している。
本稿では,2007(平成19)年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「がん患者のQOLを向上させることを目的とした支持療法等のあり方に関する研究」班(主任研究者:宮下光令)で実施した,2007年9月時点における全国のがん診療連携拠点病院(以下,拠点病院)の緩和ケアの提供体制に関する調査をもとに,拠点病院の緩和ケアに関する役割と課題について,看護師に求められるもの,看護管理者が理解しておくべき事項を中心に考察する。
なお,拠点病院の指定要件は2008(平成20)年4月に改正された(表1)。本調査が行なわれた時点で指定されていた拠点病院は288施設であり(みなし拠点病院である国立がんセンター中央病院・東病院を含む),2008年5月時点では353施設と増加している。本調査は改正前に行なわれたものであることに注意していただきたいが,本稿の目的は今後の拠点病院の緩和ケアのあり方を論じるものであるから,原則として指定要件は2008年4月に改正されたものにもとづき論じることにする。なお,現在すでに指定されている拠点病院では,2009(平成21)年度末までに新しい要件を満たしたうえで更新される必要があり,そのためには,2009年10月末までに要件を満たしたうえで,都道府県から厚生労働省に推薦される必要がある。
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