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は じ め に
わが国のがん対策は,がん対策基本法(2006年)および同法に基づく「がん対策推進基本計画」(2018年)により,計画的に行われてきた.そのなかで,がん診療連携拠点病院は,全国どこでも質の高い癌医療を提供することができるよう,癌医療の均てん化をめざし整備がすすめられてきた.そして,癌医療のさらなる充実のため,「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」および「がん等における緩和ケアのさらなる推進に関する検討会」により指定要件の見直しについて検討がすすめられ,これらの検討会からの提言をふまえ,「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」1)(2018年)が定められた.これにより,癌患者が居住する地域にかかわらず,等しく癌の状態に応じた適切な癌医療を受けることができるよう,各都道府県のがん診療連携拠点病院は都道府県知事が推薦し,国として厚生労働大臣が認定するかたちをとっている.
一方,日本整形外科学会は研修指定病院を定めており,ここでは専攻医の専門研修および整形外科専門医取得後の研修施設として,整形外科医の育成・教育にあたっている.施設によっては日本手外科学会,日本脊椎脊髄病学会,日本リウマチ学会から認定を受け,各々の学会専門医のサブスペシャルティ研修を行っている.さらに,これらの研修指定病院は整形外科単科の病院を除くと地域医療の基幹施設であり,その結果としてがん診療連携拠点病院であることが多い.したがって,国民の2人に1人が生涯で癌に罹患する時代(癌時代)に入った今,がん診療連携拠点病院における整形外科は変化のときを迎えているといっても過言ではない.以上のことに鑑みて,本稿では,わが国のがん診療連携拠点病院における癌診療と整形外科のかかわりとその現状を中心に述べる.
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