特集 がん対策の強化
がん診療連携拠点病院の課題と展望
山口 建
1
1静岡県立静岡がんセンター
pp.961-967
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102901
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はじめに
がん診療連携拠点病院(以下,拠点病院)は,国民がどの地域に居住していても標準的ながん医療を受けられること,すなわち,がん医療の“均てん”を目標として,2001年度に創設された厚生労働省の制度である.“均てん”とは「均霑」と書き,天からの雨が等しく住む人々に降りかかることを意味し,医療の分野では一定水準以上の医療技術があまねく受けられるようになることを指す.その後,指定要件が厳格になり,2006年には個々の都道府県において,都道府県拠点と二次医療圏の地域拠点という二層構造とすることが決定された.さらに,2008年には診療機能を強化するための指定要件を加え,補助金や診療報酬上の優遇措置などを充実させながら,2013年には全国397の医療機関が指定を受けて現在に至っている.この間,がん拠点病院の制度が中核的な役割を果たすがん対策基本法が2006年に成立し,2007年にはがん対策推進基本計画が策定された(表1)1).
このような歴史の中で,現在,拠点病院制度における重要課題として2つの格差,すなわち,①拠点病院が空白の二次医療圏が100以上存在し,“均てん”という目標とは逆の地域格差の存在,②拠点病院間の診療機能上の格差の存在,などが浮かび上がってきた.そこで,厚生労働省では現在,拠点病院のあり方について検討を進め2),2013年度には新しい指定要件を定め,2014年度以降適用していく方針を立てている.
本稿の執筆時点では,新たな指定要件についての最終的な結論は出ていないため,新要件については議論のポイントを中心に述べていきたい.
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