連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・35
山川草木―ふと足をとめて見れば―『森のいのち』『すみれとあり』『みずたまレンズ』
柳田 邦男
pp.518-519
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101232
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数年前,木曽山中のヒノキの森を散策したときのこと。地質学者のS先生に誘われて一緒に歩いたので,ヒノキの森の歴史や森を支配する樹木の種類の変化などについて教えられることが多く,興味がつきなかった。
いちばん面白かったのは,ヒノキとアスナロの生存競争のレクチャーだった。樹齢300年くらいのヒノキの大木の根が地上にゴツゴツとむき出しになっている姿を,いたるところで見かけた。立ち止まって,むき出しになった何本もの根を見ると,驚いたことに,根のあちこちから,小さな木の赤ちゃんが生えている。なかには背丈が1メートルから1メートル半くらいに成長しているのもある。
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