連載 あした天気にしてあげたい[わたしの救急奮闘記]・8
黄泉の使者を引きとめて
中村 恵子
1
1杏林大学医学部付属病院看護部
pp.1044-1045
発行日 1991年11月1日
Published Date 1991/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900507
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私たちの誰もが,“生”あるものには必ず“死”が訪れることを知っている.だが,家族の死,身内の誰かが突然の死を迎えた時に,その場に自分自身が立ち会うことは想像しがたいものである.
家族が身内の“死”を実感として受れ入れるまでには,ある程度の時間の経過が必要である.最も長い人で4か月はかかると言われている.つまりその時期をピークに,動揺状態から心の平静を取り戻,“死”を容認できるようになるものなのだが,それにしても,急激な心肺機能停止後,回復することのない患者の家族は,心の準備もないまま突然に死の宣告を受けざるを得ない.その場,その時の家族のとまどい,いらだちを私たちは嫌というほど見てきた.
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