海外の医療
アフガニスタンの医療
古知 新
1
1東北大学医学部公衆衛生学教室
pp.853-856
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206989
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アフガニスタンの概観
中近東の東端に位置し,日本の約1.7倍の国土を有するアフガニスタンは,国の真ん中を東西にヒンドウクシュ山脈が走り,その北面は西トルキスタン平原でソ連邦に接し,その南面は大部分が砂漠地帯でイラン及びパキスタンに接する,典型的な中央アジアの乾燥高原地帯にある.歴史的には「文明の十字路」として有名な地域で,パシュトゥン族,タジーク族(以上はアーリア系と推測されている),ハザラ族,ウズベック族(以上はモンゴル系と推測されている)などからなる多民族国家を形成している.総人口は約1,700万人,その内都市人口及び遊牧民がそれぞれ約10パーセントを占めると推測されている.産業としては,農業(小麦,米,果実及び綿花など),牧畜業(羊が中心)及びカーペット産業などの手工業のほかには,未だ見るべきものはほとんどなく,国民一人当たり所得は約100米ドル(1977年国連推計値)に過ぎない.宗教は,一部のヒンドゥー教徒を除き,イスラム教でスンニー派が多数を占め,ハザラ族を中心とするシーア派は少数派である.
南進するロシアと,インドを中心に植民地経営を行って来たイギリスの間の緩衝地帯として,前世紀にはイギリスの保護国となったが,今世紀の初頭にイギリスから完全に独立しアフガニスタン王国となった.
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