特別記事
療養環境改善のポイント―聖隷三方原病院の「改修」事例から考える
吉村 浩美
1
,
磯 誠二
2
1聖隷三方方病院
2TOTO株式会社マーケティング総括部病院水まわりチーム
pp.296-306
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101178
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はじめに
近年,病院建築や療養環境は,医療の変化や利用者の高齢化などを背景に,プライバシーを尊重する様式に大きく変化してきている。雑誌などで紹介される病院建築をみると,病室は多床室から個室化または個室的多床室へ,トイレは集合型から分散型へ,スタッフルームは閉鎖式から開放式へ,また案内やサインは高齢者にわかりやすくなってきており,全体的にユニバーサルデザインを重視した様式となっている。こうした時代の変化の波を受け,従来の病院建築は,見直しを迫られるケースが生じている。
例えば,医療の変化の1つとしてあげられる外来化学療法は,診療報酬で誘導されると同時に抗がん剤の開発によりその治療過程が変化していることから,いまや主流となっている。ただそれに伴い,点滴中にトイレで困る患者が増加するという変化が顕著になってきている。というのも,従来のトイレは集合トイレが多く,まず入口は狭い(まれに階段があって中2階へ下がる様式をもつ場合もある)。患者は点滴台を押しながら歩くか,あるいは車椅子で行くことになるが,入口の狭さのために,点滴台がトイレの梁に当たってしまう。スムーズにトイレに行けるようにするには,そうしたトイレを改修することを考えなくてはならないだろう。
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