特集 急性期病院におけるせん妄ケアの改善とシステム化
―大学病院におけるせん妄ケア改善のプロセス―現場での工夫と患者援助の変化
佐藤 克行
1
,
北原 美紀
1
,
酒井 郁子
2
1千葉大学医学部附属病院5階東病棟
2千葉大学大学院看護学研究科看護システム管理学専攻ケア施設看護システム管理学
pp.581-587
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100982
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はじめに
千葉大学医学部附属病院5階東病棟(以下,当病棟)は,肝胆膵外科,心臓血管外科,乳腺甲状腺外科の混合病棟である。当病棟では近年65歳以上の高齢患者が手術侵襲の大きい手術を受ける機会が増えている。2002(平成14)年1~8月までの当病棟におけるせん妄発症患者調査によると,入院患者337名のうち術後せん妄を発症した患者は15名(約4.4%)であり,症状出現時期は術後1~8日目,持続期間は2~14日間であった1)。
この結果を受け,せん妄患者に対してどのように関わるべきか,どのようにせん妄を予防していくべきかを考えるため,病棟スタッフが院内のせん妄ケア研究会に参加して,2004(平成16)年から3年間にわたって事例検討を行なってきた。そして,せん妄ケア研究会での話し合いをもとに,病棟でせん妄についてのカンファレンスを開き,振り返りを行ない,援助方法を改善してきた。
現在では,患者の特徴やせん妄のリスクを術前からアセスメントすることで,せん妄対策を早期に実行し,術後せん妄の予防につなげることができるようになっている。
本稿では,当病棟で実践しているせん妄ケアに関する現場での工夫と,事例への援助の変化について紹介する。
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