医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 6
倫理について考える─問題共有の方法論
本村 和久
1
1王子生協病院 内科
pp.1046-1049
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101665
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医療の技術的な問題を解決するうえで,コミュニケーションが重要であるといままで書いてきたが,ここでは,倫理的問題に関するリスクマネジメントについて考えてみたい.
倫理的な問題とは?
患者さんを診るうえで,倫理的な問題は常に考える必要性を感じている.食事がしっかりとれるウイルス性上気道炎の患者さんが点滴を希望されたときにどうするのか,といったような外来レベルの問題も,患者さんの背景を含め,医学的判断だけでないさまざまな問題を含む倫理的な問題といえると思う.しかし,端的に倫理的な問題に直面するのは,「人の生き死に」に関することだろう.もともと元気な方が路上で倒れて,心肺停止になるケースもあるだろうし,予後が1カ月とわかっている,意思表示のはっきりできる担癌患者さんが自宅で死を選ぶケースや,認知症で寝たきりの患者さんをどう看取るか悩むケースまで,その判断は多種多様である.
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