特集 医療事故と情報管理
信頼できる医療をめざして,医療者と患者ができること―マスコミの役割を通して考える
渡辺 勝敏
1
1読売新聞東京本社医療情報部
pp.180-183
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100795
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安全体制は整備されつつあるが
「心臓手術中ミス 小6死亡 事実を隠ぺい 東京女子医大」(読売新聞2001年12月29日付)と報道された医療過誤事件は,医師2人が業務上過失致死で起訴されるに至ったが,心臓手術では国内有数の実績を持つ施設での悪質なミス隠しが社会に衝撃を与えた。その後も「院内感染で7人死亡」「ぜんそくで重度障害」「点滴ミス2患者死亡」など医療事故のニュースは枚挙に暇がない。そして院長ら病院幹部が並んで頭を下げるテレビでの光景はおなじみのものとなった。
こうした医療事故をめぐる報道は,国民の医療への信頼を揺るがしてきた。その影響は,毎年新たに提起される医療訴訟件数の増加にも表われている。一昨年は805件で10年前の2倍以上に増えた。東京・医療問題弁護団の安原幸彦弁護士は「医療事故がめずらしくないことを国民が認識し始めて,患者側は被害を簡単に諦めなくなりました」と語る。
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