特集 医療事故と情報管理
医療事故にかかわる情報の管理と開示の考え方
北川 明人
1
1東京海上メディカルサービス株式会社メディカルリスクマネジメント室
pp.175-179
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100794
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医療事故を取り巻く環境の現状
横浜市立大学の患者取り違え事故や,都立広尾病院で起きた消毒薬誤注入事故で,看護師に刑事事件として実刑判決が下されたことは,読者の皆さんの記憶にまだ新しいことであると思うが,日本における医療リスクマネジメントの動向は,1998年あたりから急速に米国医療機関の取り組みが紹介され始めてから発展してきたと考えられている。それ以前にも,実は医療事故の報告システムを構築していた医療機関は存在していたが,現在のようなヒヤリハット報告や,事故報告のような組織活動としての認知度がまだ低かった時代である。
前述の不幸にして発生した代表的な医療事故をはじめ,数多くの医療事故のニュースが後を絶たず,病院の管理責任だけでなく,併せて医師や看護師個人の責任が問われ,刑事事件として取り扱われる件数が増加しているのが最近の動向である。これらの医療事故への対応の整備について,とりわけ医療機関の組織的防止活動,医療事故を取り巻く法的環境や報告の制度,賠償責任,患者や社会への説明責任,患者・患者家族への精神的サポート等について,この4年近くで大きな課題として要求されるようになってきた。
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