連載 看護師の働き方を経済学から読み解く・11
看護師不足とその対策の悪循環
角田 由佳
1
1前 国立社会保障・人口問題研究所
pp.146-151
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100789
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看護師は元来,雇用主側が雇用に支配力を持ち,生産性に見合わない賃金を支払われる労働市場構造に置かれやすい。同時にその市場は階層化し,たとえ高い技能を持っている看護師であっても,階層間の移動は困難である。階層間で見られる賃金格差は,看護師が担当する職務の価値の差も一因になっている可能性についても,前回指摘した。
このように,看護師の労働市場がきわめて複雑な構造を形成するなか,看護師の労働力不足問題の発生を契機として,政府はさまざまな政策を実行してきた。
今回は,看護師に対する政策展開を経済学の視点から捉え,それらが看護師の労働市場,そして雇用にどう影響したのかを論じる。
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