連載 介護保険下の公衆衛生活動を考える・20
どこも悪いところはありません
関 なおみ
1,2
1順天堂大学医学部公衆衛生学教室大学院
2東京都豊島区中央保健福祉センター 保健医療担当係
キーワード:
不安神経症
,
衛生害虫対策
,
家事援助
Keyword:
不安神経症
,
衛生害虫対策
,
家事援助
pp.894-896
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100979
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母(68歳):不安神経症(自律神経失調症・不眠・抑うつ状態),要介護3
息子(44歳):障害者手帳2種5級,高次脳機能障害・平衡機能障害(交通事故後遺症)
セピア色の部屋
「母の介護のことで相談したい」と息子から相談され,生活保護のケースワーカーが訪問したときには,カーテンで2つに区切られた6畳の部屋はよどんだ空気に満たされ,万年床の状態だった.そしてその部屋全体――壁・天井・カーテン・本・布団にいたるまですべてが,溶けそうなセピア色に染まっていた.長年にわたって親子の吸ってきたタバコのヤニで,褐色化していたのである.母親は常にストレス性の腹痛を気にしてサービスを拒否し,息子は相談を持ちかけてきたものの無関心で,カーテンの向こうから足だけが出ている.介入に困ったケースワーカーは,保健福祉センター(以下,センター)に相談を持ちかけてきた.
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