特集 不整脈
3.抗不整脈薬の薬理
【コラム】ジギタリスは善か悪か?
平岡 栄治
1
Eiji HIRAOKA
1
1神戸大学医学部附属病院 総合診療部
pp.744-749
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100154
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ジギタリスは植物由来の生薬に含まれる成分として精製単離された強心配糖体cardiac glycosideと呼ばれる薬物群の総称であり,現在のように種々の心疾患治療薬のなかった時代から用いられてきた古典的治療薬である。これまで急性および慢性の心房細動の心拍数コントロールや心不全治療のオプションとして広く用いられてきた。一方で,治療域が狭く,時には血中濃度が治療域内であっても副作用(ジギタリス中毒)が出現することもあり,そうしたときに半減期が長いため使い勝手が悪い面もあることが知られてきた。
「ジギタリスは善か悪か?」答えは簡単ではない。以下に症例をまじえてジギタリスの使用法,注意点をエビデンスに基づき概説する。なお,ジギタリス製剤にはさまざまな製剤が存在する。しかし,筆者の知るかぎり,唯一ジゴキシンがさまざまな無作為化試験による臨床的アウトカムが吟味されているものであり,ジゴキシンのデータをもとに概説する。
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