焦点 院内暴力における危機管理
院内暴力とその対応の現状
安井 はるみ
1
1社団法人神奈川県看護協会医療安全対策課
pp.1019-1022
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100711
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院内暴力は労働安全衛生管理の問題だけではない
2006(平成18)年8月24日,X病院で発生した医療事故報道では,事故そのものと同時に保健師助産師看護師法違反(助産行為制限)のニュースが全国ネットで流れた。この病院で看護師・准看護師が行なっていた「内診」は医師・助産師のみが行なえる助産行為に相当し,80人の県警が家宅捜査に入るという大掛かりな捜査に発展した。厚生労働省からは2回にわたり,法令順守するよう通知があったが,日本産科医会などによっては,内診を認めてほしいという要望が出されるなど,現法上で明らかな違反が暗に現場で実施されていることが示唆された。
今回は大掛かりな家宅捜査や報道があったことで社会問題として表面化したが,明らかな違法行為,もしくは違法行為に近い,グレーゾーンに相当するような行為がある。医療現場では,医師の指示により診療上の補助行為が行なわれるが,中には,これは診療行為そのものではないか,または薬剤師や放射線技師など他職種の業務ではないか,と思われる行為を強要させられている場合もある。そのことに異議を唱え,組織幹部に交渉する過程で「それができないなら辞めてもいいですよ」「みんなやってるじゃないですか」「あなただけが従っていない。他の人の迷惑を考えたことがあるんですか」など,職業倫理や法令順守上,不適切であるにもかかわらず,異議を唱えたばかりに職場でのいじめやパワーハラスメントが始まる例や辞職例も珍しくない。
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