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はじめに
杏林大学医学部付属病院(以下,当院)は高度救命救急センター,総合周産期母子医療センターなどを有し,病床数1153床,およそ1250名の看護師が働く特定機能病院です(表1)。東京都西部最大の医療センターとして「患者様の立場に立って,暖かい心のかよう医療を提供する」という病院の理念と,「本学の建学の理念である真・善・美の精神を『患者様によろこんでいただける看護』の実践にいかしていく」という看護部理念(表2)を掲げ,高度で先進的な医療・看護の提供をすべく,日々努力しています。
高度で先進的な医療を求められるなかにあって,職場環境が危険にさらされる状況が増えてきました。医療現場は患者・家族との間にトラブルが発生することも少なくありません。ときには医療従事者間においても,意思疎通がうまく図れないことなどの理由からトラブルが発生することがあります。トラブルは苦情・クレームを除くと,身体的・精神的被害を受ける「暴力」(身体的・精神的暴力,セクシュアル・ハラスメント)が顕在化してきています。
暴力被害を契機に仕事が手につかない職員が増えてきている問題に直面し,当院では職員の身体的・精神的安全を確保する目的で「職場被害対策委員会」を発足させました。試行錯誤しながら活動してきて,まだ途上とはいえ,今年で3年目を迎えます。いまでは,これまで潜在化していた暴力被害の報告が,少しずつ職員から上がってくるようになり,事例検討も行なわれています。
今回,当院での委員会活動の一部をお伝えすることで,暴力被害の具体的な対策を考えている施設の方々に,少しでも職場環境の安全を組織として取り組む参考にしていただきたいと思います。
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