連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・19
語りかけてくれる「月」―『ながい よるの おつきさま』 『おつきさまは よる なにをしているの?』
柳田 邦男
pp.98-99
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100700
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さびしいけれど,美しい。悲しいけれど,心が休まる。夜路でふと空にかかる月を見上げると,いつもそんな気持ちになる。
朝な夕なに,いや昼間でも,顔を上げて空を見,今日はどんな雲と出会えるかなと,あいさつの視線を浮かぶ雲に向ける。夜路であれば,まず北極星探しをする。北極星が雲に隠れていれば,夏なら白鳥座,冬ならオリオン座。月が出ていれば,ああ今夜は半月だなあとか,木星とランデブーしているなとか。少年時代からの「心の習慣」は身体に染みついていて,今も同じことをしている。
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