連載 医療動向フォーラム
■「患者さま」を考える・後
脱「患者さま」に向けて
松尾 佳津子
,
田原 孝
1
1日本福祉大学
pp.874-875
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101042
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●〈姓+さま〉という呼び方
1.「患者さま」は誤解から?
「患者さま」ということばの問題を論じる際,峻別すべき観点は,「患者」という語に付ける敬称を議論したいのか,「患者の固有名詞」につける敬称を議論したいのか,という点だ.
前回に論じたように,筆者は「患者さま」という語の存在に懐疑的な立場であるが,そもそもこの「患者さま」ということばが,誤解によって医療従事者に意識され始めたのではないかという,次のような指摘はたいへん説得力がある.
「患者様」という表現は,1990年代後半に,民間病院で始まり,「医療もサービス業」という経営コンサルタントらの意見もあって徐々に拡大.2001年に厚生労働省が指針で,「患者の呼称は,原則として姓(名)に『様』を付ける」ことを当時の国立病院に求めたことで一気に広まったようだ.
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