連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・20
悲しみの奥山にやすらぎの朝が―『おばあちゃんは木になった』『よあけまで』
柳田 邦男
pp.202-203
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100678
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人は歳月の旅人。この世に生を受けて歩きはじめ,幾度となく朝を迎えては,また夕陽と出会う。やがて山の端はに夕陽が沈むように,旅人は山の森に,土に,還ってゆく。
その何万回もの朝との出会い,夕陽との別れの時に,人は何回,両手を合わせるだろうか。ずっと昔の人は,おそらく朝や夕陽と出会った数だけ,手を合わせ天あま地つちに感謝し,あるいはご先祖様にあいさつし,あるいは家族の平安を祈ったのだろう。
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