特別記事
静岡県版電子カルテ(厚生労働省電子的医療情報連携推進事業 SS-MIX)が医療にもたらす可能性―1.いま,電子カルテをめぐって考えておくべきこと
木村 通男
1
1浜松医科大学医学部附属病院医療情報部
pp.160-164
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100668
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電子カルテの見直し期
「電子カルテはすべてを解決してくれる」という初期のナイーブな夢は,数多くの先行導入病院から漏れ伝えられる悲鳴や不満を伴って脆くも消え去り,電子カルテ導入補助も過去のものとなった今,電子カルテは見直し期に入ったといえよう。したがって今こそ,初期に喧伝された,患者サービスの向上,臨床支援データの提供,経営指標の提供,物流の最適化といった事柄の,冷静な評価が求められている。つまり,それぞれの病院の置かれた状況で,何が可能で,何が期待できるかを明確にすることが重要である1)。
本稿では,2回に分けて電子カルテの問題をあらためて考えてみたい。今回は,まず最近用いられるEHR(Electronic Health Record)という言葉の意味から入り,医療安全と電子カルテ,「電子カルテ2008年問題」,ペーパーレス記述について,などの最近の電子カルテ関連のトピックスに触れ,次回は連携型電子カルテの実例として開発した「静岡県版電子カルテ」の紹介を,このシステムを用いた厚生労働省の全国展開事業計画とともに行なう。
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