連載 イラン・イスラーム共和国 異文化を通して見る看護[最終回]
看護の質を高める入浴介助ボランティア
細谷 幸子
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1東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程
pp.522-525
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100502
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施設における看護・介護の現状
前回,イランにおいては,「家族の看護・介護は家庭内で」という価値観が一般的に受け入れられていることを紹介し,在宅での看護・介護の状況を述べた。しかし一方で,都市部には高齢者や障害者(児)の入所施設も増設されてきており,これまで家庭内で行なわれてきた看護・介護が,施設化という形で「脱私事化」される過程を辿っている。
イランでは,現在,政府系機関,半官半民の慈善財団,民間営利団体,民間慈善団体などが高齢者・障害者の介護施設を運営しているが,これらの施設で提供されるサービスの水準は,決して高いものとは言えない。看護師や医師が常駐する施設は少なく,多くの施設では,無資格のスタッフが過酷な労働条件のもとで入所者の介護を行なっているのが現状である。
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