特集 看護提供者を支えるためにすべきこと
臨床看護スーパービジョン導入の試み―自信と他者からの承認を看護の質向上につなげる―臨床看護スーパービジョンの意義
池田 紀子
1
,
雨宮 多喜子
1
,
岩崎 朗子
1
1長野県看護大学
pp.463-468
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100488
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臨床看護スーパービジョンの意義
看護師が自信をもってよい看護を提供するために
昨今の保健医療看護状況は激しい変革にさらされ,医療従事者は高度でかつ安全な医療の提供を求められており,それは看護職者も例外ではない。国民からの要求に対して,知識や技術の習得を目的とするためのさまざまな継続教育が行なわれ,また日々現場での努力が重ねられているものの,現実には看護職者は過重な労働とストレスで疲労しており,時に仕事の継続が困難になる場合も少なくない。筆者らの調査1)では,半数以上の看護師が疲労し,時にはバーンアウトし,また働くことに苦痛や不安を抱いていると回答した。看護職者は一所懸命に働いているにもかかわらず,自分の仕事に充実感や価値を見出せず,自分を責める傾向があるとも言われる。
このように,日々の業務に追われ,自分が提供している看護についてゆっくり考える暇もなく走り続けている看護師に対する継続教育としては,いわゆる知識や技術の習得を目的とした集合形式の研修を充実させるばかりではなく,1人ひとりの看護師が,自身について,そして患者・クライエントとの関係性に焦点を当て,看護の内容と質を丁寧に振り返る作業が必要なのではないか。質の高い看護の提供のために,まずは看護師自身が自分を認め,自分の看護に自信をもち,楽しんでいきいきと看護できることが前提になるのである。
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