連載 イラン・イスラーム共和国 異文化を通して見る看護[3]
男性看護師の需要と受容をめぐる問題
細谷 幸子
1,2
1東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程
2日本学術振興会
pp.266-269
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100466
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男性看護師の割合が高いイスラーム諸国
近年,看護職への男性の参入に関する議論が盛んである。日本でも2002年には,看護師や保健師など,性別に関係なく使用できる名称へと法律が改正されており,徐々にではあるが,看護の世界に足を踏み入れる男性も増加している。とはいえ,日本における男性看護師・准看護師の割合は『平成15年看護関係統計資料集』(日本看護協会出版会刊)によれば,2000年で4%と,極めて低い比率にとどまっているし,欧米諸国においても,依然として看護に携わる者の多くは女性である。
だが,イスラームを信仰する人々が多く居住する地域に視線を移すと,いくらか事情が異なっている。たとえば,サウジアラビアでは,男性看護職員の割合が非常に高い。イラン・イスラーム共和国でも,看護職(看護師,准看護師,看護助手)に占める男性の割合は31.7%と,日本や欧米諸国の割合を大きく上回る値を示している。
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