特集 人口問題
保健医療需要と人口
小泉 明
1
Akira KOIZUMI
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.364-369
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206529
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■出生と死亡の推移
人類史の上で,今世紀ほど人口動態の激動が経験されたことは,かつてなかったと思われる.日本の人口動態についても,とくに第2次大戦後の30年余という短い期間に,空前絶後といってもよいほどの激しい変動がみられた.すなわち,1947(昭和22)年に人口1,000対34.3であった出生率は1980(昭和55)年には13.6に下り,1947年に人口1,000対14.6であった死亡率は1980年には6.2を示すに至った.
死亡率の動向を反映する平均余命,とくに出生時(零歳)平均余命である平均寿命についてその推移をみれば,1947(昭和22)年に男50.06年,女53.96年であった日本人の平均寿命は1980(昭和55)年には男73.32年,女78.83年を示している.さらにさかのぼって1921〜25(大正10〜14)年には男42.06年,女43.20年であったことを考慮すれば,半世紀余の期間にいちじるしい改善のあとがみられたといえよう.
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