特集 患者・医療職を“暴力”から守る環境をどうつくるか
看護の場における暴力―大学病院における実態調査から
栗田 かほる
1
1北里大学病院
pp.805-810
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100372
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
看護師が提供する診療補助業務や排泄介助・清拭といった日常生活援助は,身体への接近や接触を伴い,これなしに行なうことは困難であるため,殴る蹴るなどの暴力や身体を触られるなどのセクシャル・ハラスメントを受ける危険が高いといわれています。また24時間患者の側にいる看護職は,他の医療職種より譫せん妄もう・認知障害・精神疾患などの病状によってもたらされる暴力に遭遇する確率も高いといえます。さらに,ストレスや怒り,欲求不満の矛先として,他職種へは向けられることのない暴力や暴言を浴びせられることも多いのです。
ここ数年,院内暴力に関する調査研究が行なわれるようになり,その結果,医療の現場にも「暴力」が潜んでいることが明らかとなり,「暴力」に対する医療者の関心も高まってきました。
院内暴力は医療者間の暴力,医療者から患者への暴力,患者あるいは家族から医療者への暴力とあらゆるケースが存在しますが,本稿では,筆者が2002(平成14)年11月に2大学病院において全看護師1205名を対象に行なった「患者から受ける行為」についての調査結果を報告したいと思います。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.