特集 患者・医療職を“暴力”から守る環境をどうつくるか
【座談会】医療を提供する場における“暴力”から患者・医療職を守る
嶋森 好子
1
,
菊地 直美
1
,
横内 昭光
2,3
,
奧野 善彦
4,5
1京都大学医学部附属病院
2学校法人慈恵大学法人事務局総務部
3警視庁捜査一課
4北里大学
5奧野総合法律事務所
pp.796-804
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100370
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医療者の「忍従」に隠れている暴力
嶋森 医療現場での暴力は,これまでは,問題があるといいながらも,なかなか正面から取り上げられることはなかったと思います。私自身は,かつて東京都済生会中央病院に勤務していたとき,ホームレスの人たちのケアをしていて,患者間や患者・医療者間の暴力の問題もありましたから,関心をもっていました。医療現場では,患者に提供する医療・看護の質を上げるということがいわれながら,医療者自身は守られていないという認識が前からありました。
菊地 暴力に関しては,私が学生指導をしていた15年ぐらい前に,初めて出合いました。ほんの5分か10分,患者と学生を1対1にしてしまったことがあって,そこでセクハラ行為が起こりました。私は,その学生が,その後看護師として仕事をしていけるか,とても心配したのですが,無事就職したと聞きました。
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