特集 青少年暴力・2
<座談会>青少年暴力へのアプローチ・2
小林 秀資
1
,
南 砂
2
,
松崎 一葉
3
,
岩室 紳也
4
1国立公衆衛生院
2読売新聞社編集局解説部
3筑波大学社会医学系
4神奈川県厚木保健福祉事務所
pp.884-890
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902632
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「悪平等」の弊害
岩室 その大人たちを直すというところも非常に重要かと思いますが,社会全般を,というとなかなか視点が絞りきれません.今日のテーマが青少年と暴力ですので,青少年にかかわっている分野の中で,一例として学校教育の中にどのような問題点があるのかをご指摘いただければと思います.どういう教育をすれば,今,暴力に走るかもしれない,あるいは実際走っている子どもたちを少し引っ張り戻せるのかということに関して,南さんは何か具体的なお考えがありますか.
南 最近の青少年の暴力,事件の中で,報道されていることをもとに言うと,学校生活の中でのいじめとか,仲間外れとかの被害者であった人が,加害者になっている事例は非常に目立ちますし,多いですね.そこで,また先ほどの話になるのですが,自分が被害を受けたことが,トラウマとなり,それが原因となって社会や学校に対する漠然たる復讐の念になる,といった事例が最近目立ったと思います.ではそうならないためには,学校教育で何かできるのか.校内での差別やいじめを生まないため,として最近はかなり過剰な悪平等の風潮が生まれています.競争や優劣をつけるものは一切だめだと,徒競走は手をつないでゴールイン,といった変な悪平等の温床を作っているのが気になります.今,異年齢遊びというのがなくなっています.同年齢だけで遊んでいると,競争とか対抗といったことしかなくなってしまいます.同年齢では,負けた人は悔しいし,またいつかやり返そうみたいな関係になってしまいます.
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