BOOK REVIEW
―刑事医療過誤の傾向と問題点の整理に―刑事医療過誤Ⅱ
小林 正哉
1
1東京海上日勤メディカルサービス株式会社
pp.756
発行日 2006年9月10日
Published Date 2006/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100360
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
■高まる医療従事者の法的責任に関する知識へのニーズ
弊社のメディカルリスクマネジメント室はこの10年余り,病院などの医療機関・病院団体や医師をはじめとする医療従事者を対象に,医療安全管理体制の構築に向けたコンサルティングおよびセミナー開催などを主な業務として取り組んできました。業務を始めた当初から,医療過誤や医療事故に関する民事上の訴訟は増加傾向にあり,現場の医療従事者や事務職の皆さんは,それなりに対応に苦慮されていました。
当時は現場の皆さんから,組織としてリスクマネジメントに取り組むにはどんなところから始めたらいいのか,全国的にはどんな事故例があるのか,医療安全の風土を醸成するにはどんな研修や教育プログラムをつくったらいいのかといった質問や依頼が多かったと記憶しています。その後,1999年の手術患者取り違え事故をきっかけに,医療界全体に医療安全への取り組みが一気に加速し,今ではどこの病院でもリスクマネジャーを設置し,独自の安全対策を検討するようになってきました。そうした環境変化のなかで,最近では,弊社に対する質問やセミナーの依頼も,医療従事者の法的責任に関する内容が非常に増えてきています。とりわけ医療従事者の皆さんにとって,医療過誤に関する刑事訴訟は自分自身に振りかかってくる現実の問題として関心も高く,事例を通して問題点をきちんと学習しておきたいというニーズが高いのだと推察します。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.