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はじめに
「仕事を愛するようになると,限りなく幸せになり,意義のある充実した毎日を過ごすことができる」。このことは,仕事をもつ私たちにとってきわめて重要なキーワードである。なぜなら,一般的に成人は,目覚めている時間の約75%を仕事に関連した活動に費やしている。仕事をするための支度をし,仕事場へ行き,仕事をし,仕事について考え,仕事が終わった後リラックスする。その繰り返しであろう。人生のその部分にそれだけの時間を使うなら,それを楽しみ,それによってエネルギーを得るのでなければつまらない,そう思うことはないだろうか。今,やっている仕事を好きになることは,誰もがもっている潜在的なエネルギーと,創造性と,情熱を引き出すことが可能になる。そしてそれは,自分の仕事に対する誇りとなり,もっと楽しく,活気があり,自分を生かせる雰囲気のなかで仕事をしたいと思うみんなの願いを叶え,豊かな人生への一歩となる。
「態度を選ぶ」「遊ぶ」「人を喜ばせる」「注意を向ける」の4つの原理から構成される「FISH!」哲学を初めて紹介され,2004(平成16)年8月の導入から約1年半が経過した。その哲学を肌で感じたいとアメリカでの研修を受け,試行錯誤しながら見えない哲学を見える形にすることからはじめた。
それから,私たち流の「FISH!」を追い求めて仕掛けを続けてきた。模倣からはじまった楽しい雰囲気づくりや,誰かを喜ばせるプレゼント,「FISH!」を感じてほしいと企画したレベル別の研修会,サンキューカードなど。形を変えてそれらはさまざまに表現された。
そして今,看護部のなかで「FISH!」は形から中身へと変化を続けている。それらは,誰に強制されるでもなく,自分のビジョンを実現しようと,それぞれが心から楽しみながら自分にできることを見つけ,ヒタヒタと浸透し,着実に広まり成果を生んでいる。うれしいことに,看護師の職務満足度調査からも良い変化が組織全体に表われてきている。少しずつ活気を取り戻してくための,取り組みのプロセスと成果について紹介する。
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