増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
2.技術編—遺伝子検査を活用するための知識
3)分析法/解析法
(4)FISH法
荒川 聡
1
,
大島 利夫
1
1東海大学医学部附属病院臨床検査科
pp.958-962
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906327
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はじめに
従来in situ hybridization法は,核酸プローブを用いて染色体上の遺伝子とハイブリダイゼーションすることにより,染色体上で遺伝子の局在を知るために用いられてきた1).蛍光色素で標識した核酸プローブを用いたin situ hybridization(fluorescence in situ hybridization;FISH)法は,蛍光色素を用いることで,RI(ラジオアイソトープ)よりも,安全かつ簡便に利用できるため,検査室のレベルでも近年実施可能となった.
FISH法の最大の利点は,従来の染色体検査が細胞培養後の分裂期(M期)核を用いるのに対し,問期(G0期)核を用いても観察ができることである.このため,分裂像の得られにくい末梢血細胞や腫瘍細胞でも反復して検査ができる.さらに近年,目的とする遺伝子領域に蛍光色素を直接標識したプローブのキット化が進んだことにより臨床検査として広く普及しつつある2).
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