連載 事例と判例で考える病院の看護水準と事故防止・9
薬剤に関する事故
工藤 千佳
1
1東京海上日動メディカルサービス(株)メディカルリスクマネジメント室
pp.770-774
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100305
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
薬剤に関する事故が数多く報じられている。厚生労働省が医療安全対策事業として行なっているヒヤリ・ハット事例収集の集計結果においても,薬剤に関する事例が一番多く,毎回約30~40%(2005年6月現在)を占めている。
薬剤は患者の疾病,症状に合わせて医師が処方するが,その投与量や投与経路,速度などを誤ると患者生命に危険を及ぼすことも少なくない。また,与薬の一連のプロセスに関与するのは医師,薬剤師,看護師であるが,事故が発生すると患者への与薬の最終実施者である看護師の責任が問われることが多い。事故やインシデントが発生するたびに看護師からは「与薬時の確認を怠らない」という対策が出されている。
しかし,薬剤事故の背景には,病院全体のシステムの問題などもあるため,看護師のみの問題とせず,それぞれの役割や機能が明確にされていないために起こりうる問題と考え,対策を構築する必要がある。
今回は薬剤に関する事故事例を用い,そのなかから主に薬剤の管理に対してどのようなことが必要なのかを考える。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.