特集 高齢者ケアの質をどうマネジメントするか
老人看護CNSの取り組みから
老人看護CNSは高齢者ケアの現場をどうつくっているか
藤田 冬子
1,2
1長浜赤十字病院
2CNS 高知女子大学大学院健康生活科学研究科博士後期課程
pp.718-722
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100293
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はじめに
滋賀県東北部に位置する長浜赤十字病院(以下,当院)は,病床数549床,平均在院日数14日前後,入院患者の約半数が65歳以上の高齢者で占められるという中規模総合病院である(表1)。このような組織のなかで,筆者が看護部長のスタッフである看護師長として,フリースタンスの立場を活かした病院内での横断的な活動を始めて,丸3年が経過した。
日本で初めての老人看護CNS,赤十字病院で初めてのCNS,滋賀県で初めてのCNSという調子に,筆者には「初めての……」がついてまわった。それゆえ,当院では,見たことも聞いたこともない「CNS」と名乗る看護師,看護師不足のなかでフリーで活動し,看護単位の管理を担当しないのに看護師長の職位をもつ看護師と認識されていた。そして何より現場の看護スタッフには所属病棟以外の同僚看護師にケアの現場をみられるという初めての脅威的な体験を強いることとなった。当然のことながら,看護・医療の現場がこのようなCNSをすんなりと受け入れてくれるはずはない。しかし,この3年間には,病院自体が日本医療機能評価機構による病院機能評価受審という大きなイベントがあり,病院職員も意識の変革を迫られていた。そういった意味では,組織におけるチェンジエージェントである老人看護CNSには,向かい風ばかりでなく追い風も吹いていたように思われる。
本稿では,このような状況を経て,現在老人看護CNSが高齢者ケアの現場をどのようにつくっていっているかを紹介する。
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